儚屋本舗ブログ

儚屋本舗オフィシャルWebメディアより一部の記事を抜粋しています。

ボビーのご近所MV 〜儚屋天〜

 

MVにはいくつかのパターンがある。

 

ロックバンドなら廃墟のような場所で演奏したり、R&Bシンガーなら崖の突端で歌ったりする。

 

ヒップホップのMVにもおなじみの場面というのがある。

 

道端でパーティーをするブロックパーティー型MV。

取りあえず車(高級車だとなお良し)に乗っとく乗車型MV。

何か(主に警察)から逃げてる逃亡型MV。

スタジオ風景そのままのスタジオ型MV。

豪邸のプールでおねえちゃんをはべらせるVIP型MV。

歩いているといつの間にかみんながついてくる行進型MV。

などなど

 

そんな中、仲間をバックに地元の住宅街や空き地などで撮影する地元密着型MVがある。

 

これは地元の人間を使って地元で撮るため、コスパ的にも具合が良く、新人やアンダーグラウンドのMVではよく見られるタイプだ。

 

ブロックパーティー型と異なるのは、パーティー感よりも地元感やクルー感を前面に押し出している点にある。

 

このタイプのMVでは、いかに自分たちが地元で力のある存在であるかを誇示しなければならない。

 

うまくやればマスへのアピールと同時に、地元のプロップスも稼げるという一石二鳥の効果がある。

 

しかし、低予算でも撮影可能なため完成度は作品によってまちまちであり、時には思わぬ演出や予期せぬシーンに「?」となってしまうこともある。

 

例えばMobb Deepの"Peer Pressure"のMVでは、まだ少年の面影が残るProdigyとHavocが仲間と共に地元のプロジェクトを練り歩いている。

 

その際、なぜか彼らは鎌を担いでいる。

 

「草刈りをする訳でもなく住宅街で鎌を振り回す。」

 

これは確かにインパクトがあり、観る者を震撼させる効果はあっただろうが、同時にとてもシュールな絵面であり、果たして其れがMobb Deepの意図するものであったか定かではない。



そんなある意味リアルな地元密着型MVから2010年代の一曲、Bobby Shmurdaの"Hot N*gga"を今回は紹介したい。

 

まずは冒頭サイレン音と共にアーティスト名のクレジット「Bobby Shmurda」の文字のバックには炎の柄。

しょっぱなからホット感満載。

 

さらに車の屋根に乗ってマリファナらしきモノを吸いながら銃を撃つゼスチャー。

恐ろしすぎる。

 

その後も、何度も画面に向かって銃を撃つ仕草を繰り返す。

「俺らはアツくてヤバいんだ」という感じがビシビシ伝わってくる。

 

が、中盤からおや?と思う。

ハイテンションなのは前の十数人で後ろの方のメンバーとかなり温度差がある。

 

要は手前はHot N*ggaなのだが奥の方がCool N*ggaなのだ。

(下手をすると携帯をいじってる輩までいる。)

 

新人故の悲しさか、低予算でエキストラに十分にジョイントがまわらなかったのか、思わぬところで馬脚を表してしまった。

 

しかし、これも彼らの偽らざる姿であり、ラップで成功を夢見る黒人の少年達がどのようにプロモーションを試みているかの一端を垣間みることが出来る。

 

結局、この曲はヒットチューンとなり、多いにヒップホップシーンを沸かせることになった。

 

Cool N*ggaだった彼らももう一度同じMVを撮影することになれば少しはHotになってくれることだろう。

 

Bobby Shmurda - Hot N*gga

 

www.youtube.com